経歴
研究関心
- 旧ソ連圏の国(特にロシア,ウクライナ,モルドヴァ)を対象に国内政治の分析を行っています.
- 比較政治学のアプローチをとります.権威主義体制における政党,選挙動員,中央地方関係などに関心があります.
- フィールドワーク(専門家・エリートへのインタビュー,現地資料の収集)にもとづく定性分析と,選挙結果・人事データ等を用いた定量分析の経験があります.
- ロシアの知事/大都市市長,ウクライナの知事人事データなどを構築しています.データに関心がある方はご連絡ください.
著書
書評
- 日本経済新聞朝刊 2025年6月14日(リンク)
- 朝日新聞朝刊 2025年7月5日(評者: 上村剛(関西学院大学准教授),リンク)
- 共同通信配信記事(いくつかの地方紙に掲載)(評者: 東島雅昌(東京大学社会科学研究所准教授))
- 読売新聞朝刊 2025年7月27日(評者: 佐橋亮(東京大学東洋文化研究所教授),リンク)
- ロシアNIS調査月報 2025年9-10月号(評者: 服部倫卓(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授))
- 週刊読書人 2025年10月29日(評者: 渋谷謙次郎(早稲田大学法学部教授))
- 改革者 2025年12月号(評者: 湯浅剛(上智大学外国語学部ロシア語学科教授))
- 図書新聞 3713号(2025年11月29日)
英語論文
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. (2026) Surviving Political Disruption: Renomination Patterns of Former Party of Regions Deputies in Post-Euromaidan Ukraine. Electoral Studies, 102, 103113.
大規模な政治的変動は与党の正統性を大きく損なうが,旧与党に所属していた政治家の政治的影響力を必ずしも消滅させるわけではない. 本稿は,2014年のユーロマイダン革命後に,ウクライナの旧与党・地域党(Party of Regions: PoR)の地域議会議員がいかにして政治的生存を果たしたのかを分析する. ユーロマイダン革命によって地域党は著しく失墜し,中央政権からも退いたにもかかわらず,2010年に地域党から当選した地域議会議員のおよそ3分の1は,2015年の地域議会選挙で再び公認を獲得した. 本稿は,公認を求める旧地域党議員と,地域での集票力を持つ候補者を求める政党との相互作用に着目し,革命後の再公認を規定した要因を明らかにする. 具体的には,①候補者個人の選挙資源,②地域党へのイデオロギー的な埋め込みの程度,③政治地理的要因の三つが重要であったと論じる. 小選挙区での当選経験に示されるような強い個人的選挙基盤を持つ議員ほど,再公認される可能性が高く,とりわけ新与党であるペトロ・ポロシェンコ・ブロック(BPP)から公認を得やすかった. 一方,地域党との結び付きが強い議員はBPPから公認される可能性が低い反面,地域党の後継政党である野党ブロック(Opposition Bloc: OB)から公認される可能性が高かった. さらに,OBの支持基盤が維持されていた地域や,政治エリート層が薄く,クライエンテリズム的ネットワークが発達した農村部では,旧地域党議員が政治的に生き残る可能性が高かった. 2010年地域議会選挙の当選者と2015年地域議会選挙の候補者に関する独自データを用いた分析により,本稿は,地域に根差した選挙資源と政党側の候補者需要が,ユーロマイダン革命後における旧地域党議員の政治的生存を支えたことを明らかにする.
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. (2026) Legitimacy and Control: The Strategic Use of Minor Opposition Parties in Authoritarian Elections. Comparative Politics, Fast Track.
なぜ権威主義体制は,政権獲得の見込みがほとんどない小規模野党の活動を容認するのだろうか.本稿は,こうした政党が存続するのは,体制側が政治競争を意図的に設計しているためであると論じる. 小規模野党は,二つのメカニズムを通じて体制の安定性を高める.第一に,有権者の選択肢を拡大し,競争的な政治の外観を維持しつつ体制支配を脅かさないことで,選挙の正統性を高める. 第二に,有力野党の名称や政策を模倣したり,特定のイデオロギー的ニッチを占有したりすることで野党票を分散させ,選挙をめぐる不確実性を低減する. 本稿は,政党登録要件の緩和によって政党数が急増した2012年以降のロシアに着目し,2003–2024年に実施された367件の地域議会選挙に関する独自データを用いて分析を行う. その結果,小規模野党は政権にとって政治的に脆弱な地域ほど多く活動し,投票率を高める一方で,有力野党の支持を分散させることにより,権威主義体制の強靱性を支えていることを明らかにする.
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. (2023) Integrating Governor Posts Into the Federal Bureaucratic Structure: Resignation and Post-Tenure Careers of Governors in Russia. Europe-Asia Studies, 75(10), 1651–1676.
権威主義的指導者は,政権を固めるため,主要な地方ポストを国家官僚機構に組み込む. 本研究は,ロシアの知事の在職後の経歴に関する包括的なデータセットを活用し,プーチン大統領の中央集権化改革の下で,知事の退任が連邦政府の裁量で行われるようになってきたことを実証する. 2010年代には,退任する知事が頻繁に刑事訴追に直面した. 同時に,知事の連邦政府ポストへの昇進が増加し,厳格な統制と昇進を組み合わせることで,地域ポストが連邦行政機構に組み込まれてきた.
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. (2023) Growing Localization and Fragmentation of Patronal Politics: Ukrainian Local Elections since 2010. Eurasian Geography and Economics, 64(3), 296–321.
ウクライナの2020年地方選挙では,地域政党が急増し,政党システムが急激に変容した. 比較政治学の先行研究は政党システムの漸進的な全国化を検証してきたが,現代ウクライナで観察される政党システムの急速な地域化についてはほとんど議論されていない. 本研究は,2010年代の政治過程に関する定性分析と,2010年・2015年・2020年のウクライナ地方選挙結果の定量分析を組み合わせ,政党システムの地方化がユーロマイダン後に急速に権力を拡大した有力市長たちによって引き起こされたことを実証する. この市長権限の増大には主に三つの原因がある. 第一に,市長の公選制や市当局の相対的な自治の大きさといった制度的枠組みが,知事などの他の地域アクターとは異なる独自の権限を市長に付与している. 第二に,ユーロマイダン後に開始された地方分権改革が市長と市当局の権限を強化した. 最後に,ヴォロディムィル・ゼレンシキー大統領による知事の登用パターンと,彼の政党「人民の僕」の候補者選定プロセスが,市長が地域的な権力基盤を構築することを可能にした. 本研究は,パトローナリズムの地理的断片化を示すことで,パトローナリズム概念に対する重要な示唆を与える.
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. (2022) Remnants of the Ancien Régime: Renomination and Re-election of Former Members of A Demised Ruling Party in Ukraine. Democratization, 29(7), 1249–1267.
近年,権威主義的後継政党に関する学術的研究が盛んに行われているが,既存の研究の大半は,打倒された支配党の元党員の生存パターンを実証的に検証していない. 本研究は,権威主義体制崩壊後の選挙において,旧支配党メンバーがどのような条件下で生き残るかを考察する. ウクライナの全国議会現職議員450名と地方議会現職議員2869名に関する包括的データを活用し,崩壊した与党「地域党」の元党員たちの地域党政権崩壊後の選挙行動・選挙結果を検証した. その結果,個人資源を有する元地域党議員(例えば小選挙区制で当選した議員)ほど,その後の選挙で議席を確保する可能性が高いことが明らかになった. さらに,元地域党議員の政党帰属を分析すると,政治プログラムやイデオロギーよりも選挙戦略が優先された. これらの知見は,権威主義的与党の元構成員にとって,政治的生存において個人の資源が重要であることを浮き彫りにしている.
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. (2019) The Electoral Logic of Governor Rotations in Ukraine: Rulers’ Authority, Party Strength, and Regional Polarization. Post-Soviet Affairs, 35(3), 258–276.
権威主義的統治者は,どのような条件下で,そしてどのような方法で国家機構を活用し,選挙での勝利を確実なものとするのか? 本稿はこの問いに答えるため,混合体制における選挙動員を基盤とした知事任命のパターンについて検証する. 行政資源を支配する権威主義体制の指導者は,有権者を自陣営へ動員する能力に優れた知事を好む.しかし,いくつかの状況下ではこの戦略は最適とは言えないか,あるいは取ることができなくなる. 本論を実証的に裏付けるため,1996年から2017年までのウクライナにおける知事任命・解任の独自データを用いた生存分析を行う. 分析結果は,レオニード・クチマ大統領時代において選挙実績が知事任命の主要な決定要因であったことを裏付ける. さらに,支配党の強さ,中央政府内における統治者の権威の強さ,地域分断といった様々な制度的条件が,後任大統領による異なる任命戦略の採用につながったことを示した.
日本語論文
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2000年以降の中央集権化改革によってロシアにおける中央の地域統制が強化されたとされてきた.一方で,しばしば地方政治の不安定化の事例も報告されている. 本研究は,この要因を「アウトサイダー知事」の増加に求める.1991–2019年の全知事に関する独自データを用い,アウトサイダー登用の時系列的変化とその政治的帰結を検証する. ボリス・エリツィン期には任免権が中央にあった時でも,地域社会に根差さない知事の派遣は限定的であった. 1996年以降は知事は公選で選出されるようになり,連邦政府から自律的な立場をとる知事はますます増えていった. ヴラディミル・プーチン政権下で中央優位が確立し,2004年の事実上の知事任命制導入後も,当初はアウトサイダー知事は例外的であった.だが2007年以降,与党統一ロシアの支配の確立とドミトリー・メドヴェージェフ政権の成立を契機に,中央に忠実なアウトサイダーへの交代が加速した. その結果,中央は地域政治をより強く統制できるようになった一方,地方エリートの不満や抗議を招き,選挙での動員力の低下をもたらした. OLSおよび逆確率重み付け推定の結果,アウトサイダー知事は地元出身知事に比べ得票を十分に動員できないことが示され,制度変更後も中央―地方関係はなお流動的であることが明らかとなった.
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ソ連解体以降注目を集めてきたロシア地方政治研究の中でも,北カフカースの民族共和国ダゲスタンはこれまで十分に分析されてこなかった. 本稿は,現地報道やインタビュー調査をもとに,ダゲスタン政治の特殊性と,近年の中央集権化の高まりの中での変化について分析する. 第一に,民族間の権力配分を前提とする多極共存型統治構造が,法制度上の制約が弱まった後も非公式に維持されていることを示す. 他方で,市郡レベルでは多様なエリートが自立的に行動しており,共和国政府との関係は不安定だった. 第二に,連邦選挙では高投票率と与党支持が観察される一方,市長選では激しい競争が見られ,選挙動員は共和国政府ではなく市郡を基盤としたクランによって担われていることを明らかにする. この発見は,従来のロシア型政治マシーン論の修正を促す. 第三に,中央から派遣されたラマザン・アブドゥラティポフ知事やヴラディミル・ヴァシリエフ知事による「権力の垂直」構築の試みを検討し,その成果が限定的であることを示す. 本研究は,中央集権化が進むロシアにおいても地域別事例研究の重要性を提起する.
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ウクライナの選挙では従来,有権者の民族・言語の違いに基づく東西の亀裂の重要性が強調されてきた. 本稿は,権威主義体制下の選挙動員という視角を用いて,地方エリートの動員能力の差からこの東西亀裂を説明する. 2004年ウクライナ大統領選の選挙区レベルの結果を用いた計量分析により,従来強調されてきた民族・言語などの要素は,地方間の差異を説明できても,地方内の得票差までは十分に説明できないことを示す. ドニプロペトロウシク州とヘルソン州の定性比較分析から、(1)地域エリートの結束度と(2)有権者のエリートからの自律性が選挙結果を左右することを明らかにした. 前者が高い地方では政治マシーンが有効に機能し与党候補を大差で勝利させる.後者が高い地方では住民が威圧から逃れ野党支持を示しやすい. さらにこの発見がウクライナ全土に適用可能か確かめるために,人事交代頻度や中小企業生産性を独立変数として,選挙結果を結果変数とする計量分析を行なった. その結果,エリート統制の弱さや住民の経済的自立性が野党候補の得票を高めることが示された. 以上より,権威主義下では地域政治マシーンの強弱こそが選挙地理を規定することを明らかにする.
その他
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「戦時の地方統治と市民の統制」 日本国際問題研究所 「ロシア」研究会最終報告書,2026年4月.
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「【経済教室】開戦5年目のロシア,統制が進み社会に広がる諦観」 日本経済新聞,寄稿,2026年3月26日.
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「プーチン氏は国内世論意識 戦果を可視化」 毎日新聞,取材対応,2026年2月23日.
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「戦争中のロシアの知事人事」 日本国際問題研究所 「ロシア」研究会令和6年度研究報告書,2025年5月.
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「戦争と「平和な」選挙?開戦後の地方統治と2023年地方選挙」 日本国際問題研究所 研究レポート,2024年1月.
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“Local Political Processes in Ukraine behind the War: The Security Risk of Expanding Russian Influence on the Ground.” Forum for Ukrainian Studies, June 2022.