経歴

2009
山口県立徳山高等学校理数科 卒業
2014
東京大学法学部第三類(政治コース)卒業
2016
東京大学大学院法学政治学研究科 修士課程 修了
2021
同研究科から博士(法学)取得
2021–2022
日本学術振興会特別研究員PD
2022–
大阪大学大学院法学研究科 准教授

研究関心

著書

『ロシア政治: プーチン権威主義体制の抑圧と懐柔』
中公新書,2025年

参考資料は こちら

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ロシア政治: プーチン権威主義体制の抑圧と懐柔

書評

英語論文

  1. 大規模な政治的変動は与党の正統性を大きく損なうが,旧与党に所属していた政治家の政治的影響力を必ずしも消滅させるわけではない. 本稿は,2014年のユーロマイダン革命後に,ウクライナの旧与党・地域党(Party of Regions: PoR)の地域議会議員がいかにして政治的生存を果たしたのかを分析する. ユーロマイダン革命によって地域党は著しく失墜し,中央政権からも退いたにもかかわらず,2010年に地域党から当選した地域議会議員のおよそ3分の1は,2015年の地域議会選挙で再び公認を獲得した. 本稿は,公認を求める旧地域党議員と,地域での集票力を持つ候補者を求める政党との相互作用に着目し,革命後の再公認を規定した要因を明らかにする. 具体的には,①候補者個人の選挙資源,②地域党へのイデオロギー的な埋め込みの程度,③政治地理的要因の三つが重要であったと論じる. 小選挙区での当選経験に示されるような強い個人的選挙基盤を持つ議員ほど,再公認される可能性が高く,とりわけ新与党であるペトロ・ポロシェンコ・ブロック(BPP)から公認を得やすかった. 一方,地域党との結び付きが強い議員はBPPから公認される可能性が低い反面,地域党の後継政党である野党ブロック(Opposition Bloc: OB)から公認される可能性が高かった. さらに,OBの支持基盤が維持されていた地域や,政治エリート層が薄く,クライエンテリズム的ネットワークが発達した農村部では,旧地域党議員が政治的に生き残る可能性が高かった. 2010年地域議会選挙の当選者と2015年地域議会選挙の候補者に関する独自データを用いた分析により,本稿は,地域に根差した選挙資源と政党側の候補者需要が,ユーロマイダン革命後における旧地域党議員の政治的生存を支えたことを明らかにする.

  2. Aburamoto, Mari and Masatomo Torikai. (2026) Legitimacy and Control: The Strategic Use of Minor Opposition Parties in Authoritarian Elections. Comparative Politics, Fast Track.

    なぜ権威主義体制は,政権獲得の見込みがほとんどない小規模野党の活動を容認するのだろうか.本稿は,こうした政党が存続するのは,体制側が政治競争を意図的に設計しているためであると論じる. 小規模野党は,二つのメカニズムを通じて体制の安定性を高める.第一に,有権者の選択肢を拡大し,競争的な政治の外観を維持しつつ体制支配を脅かさないことで,選挙の正統性を高める. 第二に,有力野党の名称や政策を模倣したり,特定のイデオロギー的ニッチを占有したりすることで野党票を分散させ,選挙をめぐる不確実性を低減する. 本稿は,政党登録要件の緩和によって政党数が急増した2012年以降のロシアに着目し,2003–2024年に実施された367件の地域議会選挙に関する独自データを用いて分析を行う. その結果,小規模野党は政権にとって政治的に脆弱な地域ほど多く活動し,投票率を高める一方で,有力野党の支持を分散させることにより,権威主義体制の強靱性を支えていることを明らかにする.

  3. 権威主義的指導者は,政権を固めるため,主要な地方ポストを国家官僚機構に組み込む. 本研究は,ロシアの知事の在職後の経歴に関する包括的なデータセットを活用し,プーチン大統領の中央集権化改革の下で,知事の退任が連邦政府の裁量で行われるようになってきたことを実証する. 2010年代には,退任する知事が頻繁に刑事訴追に直面した. 同時に,知事の連邦政府ポストへの昇進が増加し,厳格な統制と昇進を組み合わせることで,地域ポストが連邦行政機構に組み込まれてきた.

  4. Torikai, Masatomo. (2023) Growing Localization and Fragmentation of Patronal Politics: Ukrainian Local Elections since 2010. Eurasian Geography and Economics, 64(3), 296–321.

    ウクライナの2020年地方選挙では,地域政党が急増し,政党システムが急激に変容した. 比較政治学の先行研究は政党システムの漸進的な全国化を検証してきたが,現代ウクライナで観察される政党システムの急速な地域化についてはほとんど議論されていない. 本研究は,2010年代の政治過程に関する定性分析と,2010年・2015年・2020年のウクライナ地方選挙結果の定量分析を組み合わせ,政党システムの地方化がユーロマイダン後に急速に権力を拡大した有力市長たちによって引き起こされたことを実証する. この市長権限の増大には主に三つの原因がある. 第一に,市長の公選制や市当局の相対的な自治の大きさといった制度的枠組みが,知事などの他の地域アクターとは異なる独自の権限を市長に付与している. 第二に,ユーロマイダン後に開始された地方分権改革が市長と市当局の権限を強化した. 最後に,ヴォロディムィル・ゼレンシキー大統領による知事の登用パターンと,彼の政党「人民の僕」の候補者選定プロセスが,市長が地域的な権力基盤を構築することを可能にした. 本研究は,パトローナリズムの地理的断片化を示すことで,パトローナリズム概念に対する重要な示唆を与える.

  5. 近年,権威主義的後継政党に関する学術的研究が盛んに行われているが,既存の研究の大半は,打倒された支配党の元党員の生存パターンを実証的に検証していない. 本研究は,権威主義体制崩壊後の選挙において,旧支配党メンバーがどのような条件下で生き残るかを考察する. ウクライナの全国議会現職議員450名と地方議会現職議員2869名に関する包括的データを活用し,崩壊した与党「地域党」の元党員たちの地域党政権崩壊後の選挙行動・選挙結果を検証した. その結果,個人資源を有する元地域党議員(例えば小選挙区制で当選した議員)ほど,その後の選挙で議席を確保する可能性が高いことが明らかになった. さらに,元地域党議員の政党帰属を分析すると,政治プログラムやイデオロギーよりも選挙戦略が優先された. これらの知見は,権威主義的与党の元構成員にとって,政治的生存において個人の資源が重要であることを浮き彫りにしている.

  6. 権威主義的統治者は,どのような条件下で,そしてどのような方法で国家機構を活用し,選挙での勝利を確実なものとするのか? 本稿はこの問いに答えるため,混合体制における選挙動員を基盤とした知事任命のパターンについて検証する. 行政資源を支配する権威主義体制の指導者は,有権者を自陣営へ動員する能力に優れた知事を好む.しかし,いくつかの状況下ではこの戦略は最適とは言えないか,あるいは取ることができなくなる. 本論を実証的に裏付けるため,1996年から2017年までのウクライナにおける知事任命・解任の独自データを用いた生存分析を行う. 分析結果は,レオニード・クチマ大統領時代において選挙実績が知事任命の主要な決定要因であったことを裏付ける. さらに,支配党の強さ,中央政府内における統治者の権威の強さ,地域分断といった様々な制度的条件が,後任大統領による異なる任命戦略の採用につながったことを示した.

日本語論文

その他